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ブログ再考

 昨日の「削除事件」で、このままこのブログを継続する気が失せてしまった。SNSに暴力性があるのは事実だろう。それを否定する圧力は気に食わない。昔から気に食わないことには盾突く悪癖があるので、今回も同様。暫くは、デイリー・マネタリー・アフェアーズと世界潮流に集中致します。みなさん、ワガママですみません。気が向いたら別のどこかで再開するかもしれませんが、いまロシアで忙しいので、またね。

世論の暴力

 SNS批判したら削除されたみたいだ。このブログもやめるかな。

イラン制裁の顛末

 経済メディアは、自国の事を棚に上げてロシア経済の疲弊・混乱・衰退を大きく採り上げている。確かに中銀まで制裁対象になったロシアへの打撃は小さくないだろう。ルーブルは暴落、株は投げ売り、国債利回りは急騰である。日本がこんな目に遇ったら国民はもう明日は無い、といった絶望感に瀕してしまうことだろう。でも、そんな酷い目に遇いながらしぶとく生き残っている国もある。そう、イランである。 パーレビ王朝が倒れ、テヘランの米国領事館が占拠される事件も起きた。様々な映画のテーマにもなったが、この後米国は報復措置に出る。原油禁輸と金融制裁だ。どこかで見た構図である。これに日欧なども呼応して、大規模制裁が始まった。レアルは暴落、インフレは加速、経済は急縮小、とまるで今日のロシアの状況と重なり合う映像のようだ。 でもイラン経済は崩壊せず、株価は大幅に持ち直し、通貨も下げ止まった。オバマの核合意も取り付けた。2018年にトランプが制裁再開した後も、経済崩壊の兆候はない。このあたりの状況を説明する資料を探していたが、日経は勿論、FTやWSJやBllombergにはなかった。漸く、The Economistで見つけた。流石だねえ、この雑誌。もう読み始めて数十年になるが、この質の高さは本当に助かるわ。法学部卒と経済学部卒だけで組織を作っちゃだめだわな。

売れなかった「地政学リスク」

 仕事上、経済メディアとはいろいろお付き合いがある。本の執筆というのもその一つで、何社かから出版したが、単独執筆の18冊のうち、売れたなア、と言えるのは半分も無い。最近でいえば、D社から出した「12大事件で読む現代金融入門」は意外によく売れた。だが続いて上梓した「地政学リスク」はまるで売れなかった。2015年の出版である。 当時、ロシアのクリミア併合があり、ウクライナとの揉め事も起きた。そうした内容を込め、原油問題にも触れながら、市場の観点から「地政学」の分析を試みた本だったが、反応は鈍く、なんだ、日本人は地政学に全然興味が無いのか、と己の執筆力を棚に上げて憤慨したものであった。あれから7年、地政学リスクは見事に蘇る。 ある記者から、この本の関連で取材したいとメールが来たので、慌てて拙書のページをめくってみた。結構うまく書いてあるゾ、と自賛しながら前書きだけ読んだ。別に今日の出来事を予言した訳でもないが、切り口としては現在の整理には役立ちそうな気がしてきた。過去の自分に助けられる、というのはこういうことか。頭が働くうちに仕事はしておくもんですねえ。

金曜日の午後

 こういう仕事をしていると、休日は無いに等しい。土日も午前中は仕事で埋まってしまう。ある旧友にそんな話をしたら、お前早死にするよ、と言われたが、お客が一人でもいる限りは仕事を続けると宣言した以上、辞めるわけにもいかない。唯一の「救われる時間」は金曜の午後である。ニューズレターを午前中に出して、午後は自由時間なのである。 だがその貴重な時間が潰れる週もある。アポやミーティングが入ると、泣く泣く「有難うございます」といって仕事する。心では泣いているが、仕方ない。原稿依頼を忘れていて、慌てて金曜の午後に取り掛かる日もある。今日は大丈夫かなと思っていたら、スケジュールにミーティング予定が入っていた。嗚呼、今週も自由時間の喪失。。。。 とはいえ、原稿を書く予定が入ると頭の整理が出来るので、全く無駄という訳でもない。今日の仕事のテーマは「冷戦2.0」における国際経済と金融市場の行方、だそうな。壮大な話ではあるが、一度纏めておけば何回も使える、という特典もある。使い回し、と言ってはいけません。有効活用である。これもプーチン流の言い訳に近いカナ?

遅すぎる妥協

 ウクライナ政権が今頃になってNATOが冷たいと言い出した。そんな当たり前の事、国民が多数犠牲になってから言い出してどうするよ、てな感じだわなあ。ベンチがアホやから野球出来ん、というよりもっと始末が悪い。 内外メディアのロシア批判に何もいう事はないが、ウクライナ政権にも、バイデン政権にももっと言うことあるだろが、と言いたい気分。譲歩するなら一秒でも早くやらないと。 ロシア寄りだと批判されそうだが、ヒトラーを産んだのも某欧州国の非妥協的外交であった事を思い出すべきだろう。嗚呼、人間はやっぱり進歩がない。21世紀も20世紀の延長でしかないナア。

食糧問題

 エネルギーも問題だけど、食糧不足も心配である。武士は食わねど高楊枝、なんて言ってる場合ではない。寒い暑いは我慢できても空腹は無理。日本は物流が止まればお終いの国である。 現代経済においてはモノのフローよりマネーのフローの方を重視する傾向が強まり、投資家も貿易より資本の動向を注視してきた。だがそれは不自由なく貿易が可能だという前提あっての話だわな。 貿易の重要性は益々強まるだろう。エネルギーだけでなく食糧の安全保障も考えねばならない。ウニが食えない、なんてのは贅沢な悩みに過ぎない。貿易金融も復習した方が良いかも知れぬ。輸入LCオープンくらいなら、まだ出来るかも。老後の仕事口になるかなア。

馬鹿は伝染する

 外資系勤務時代、いろいろと気を病むことが増えた。「収益がすべて」に近い環境の中でとても正常ではない、と思うことも何度もあった。それはニューヨークからの声やロンドン、香港からの圧力にも感じられたし、東京の中でも異様な事態に直面することがしばしばあった。慣れてしまえば楽なことなのだが、流石にそれには抵抗した。 馬鹿は伝染し易いと感じたのもその当時であった。外資系企業が馬鹿なのではなく、収益がすべてという哲学が馬鹿を生むのである。職員や顧客より株主が気になる、と言い放った幹部もいた。とてもではないが、同調する気にはなれなかった。リーマン・ショックの前に現役を辞めてラッキーだったなア、とつくづく思った。でもその解放感にひたった挙句、緊張感を失った大病を患うことにもなった。変な半生であった。 いま世界中で馬鹿が感染拡大を起こしている。ロシアだけではない。私の眼には、ウクライナも米国も英国も独仏も中国もインドも、みんな日本並みの馬鹿に見える。馬鹿同士の仲介さえ出来ないのは馬鹿な証拠である。これまで狂っているように見えた、仲介を始めたトルコやイスラエルがまともに思えてくる。世界は狂人の集まりになった。とても、リスク・テイクどころではない。

イールドカーブ

 米国の2年・10年の利回り格差が30BPまで縮小してきた。景気後退まっしぐら、というのが解釈の一つだろう。原油は130ドルまで高騰。小麦やトウモロコシの価格も跳ね上がり、アルミやパラジウムは品薄感も強まってきた。インフレとリセッション、1970年代の再来は悪夢に止まらず、現実化しようとしている。  米ソ冷戦は米中の新冷戦に変貌したかに見えたが、米露の新冷戦へと展開し始めたようだ。世界経済も打撃を受ける。ロシアと欧州、そして新興国が最大の被害者だろうが、日本も例外ではない。そして強者の論理を振りかざす米国も危ういかもしれない。筆者は米国経済の見通しに関して、まだ強気だが少しリスクシナリオの確率を修正中だ。 それにしてもろくでもない世の中になったものだ。プーチンが狂ったのは事実だが、狂人は勝手に出現しない。そうさせる環境があるのだ。メディアはそこを追求しない。世界が狂ったのはロシアだけのせいではないのである。そこを突かないと、経済も市場も悪夢に突入するばかりであるらむ。困ったものだ。

ブラックスワン

 今回のロシアによるウクライナ侵攻はブラックスワンだと言われているようだ。誰も予想し得なかったからだろう。だが、ロシアとウクライナとの揉め事は随分前から指摘されていた。ウクライナが欧州向けガスを横取りしていた事もある。拙書の地政学リスクでも、この問題は指摘している。 ただ、戦争にまで至る確率は高くない、と皆思っていた。つまり、影響はデカいが確率は低いというリスクマップ上の位置付けであった。これをブラックスワンと呼ぶのは正しくないようにも思う。重要なのはやはりリスクマップのアップデートだろう。 以前ある講演でリスクマップを使った分析を行ったが今ひとつウケが悪く、それ以来やめてしまった。今回の一件を見て、やっぱり続けておくべきだったとつくづく思う。アホの知恵は後から出てくる、の典型。まだ修行が足らんなア。

ロシアの歴史

 欧州史は割と好きなので、結構読んできたが、ロシアに関しては日本の文献が少ないので、やや知識が不足している。ソ連の誕生から崩壊まで綴った本はあるのだが、東ローマ帝国とキエフ公国との繋がりや、モンゴル帝国との絡みなど、中世から辿った本にはあまりお目に掛ったことが無い。ロシア文学は一杯あるのに、歴史本は極度に乏しい。  先般も、ある大きな本屋に出掛けたついでに探したが、見当たらない。データベースで探してみると、在庫切れのオンパレードである。置いてても売れない、売れないから置かない。もうロシアの本など置かない、といった本屋もあるかもね。あちこち見て回ってやっと見つけたのが、ロンドン大学メリデール教授の「クレムリン」。白水社さん、ありがとさん。  2月までは極度の多忙であったが、3月に入って少し時間が出来た。今月はこの本をゆっくり読ませて貰おう。もう生きているうちにロシアに行けそうにない。一度行っといて良かったが、トレチャコフ美術館に行くという願いはどうやら潰えた。この本で気晴らししよう。世界中はロシア憎し、許し難し、の雰囲気だが、個人的な趣味は永遠であります。

FRBの利上げ路線

 シカゴのFF Futureでは「今月の利上げ幅は25BPで決まり」という予想になっている。パウエル議長が25BPで提案する、と議会証言で事前予告したのだから、そういう相場になるのは解る。戦争の行方も不透明ということなので、まあ取り敢えずは25BPで、ということなのだろう。でもこれは本当に正しい判断なのだろうか、と首を傾げている。だって米国経済は強いんですから。 景気動向が不透明だから政策は慎重に、というのはディスインフレにどっぷりつかった見方である。いまはインフレなんですよ。それも3%とか4%ではなく7%とか8%なのだ。年内に落ち着くという予想も吹っ飛んでしまった。米国の年末インフレ率は多分6%くらいだろう。欧州でも5%は下回らないだろう。それで慎重な利上げとは笑止千万、と怖いインフレ時代を知る旧人類は考えるのだ。  経済に配慮するのは当然だが、それは戦争を回避すべきだった政治家の仕事である。中銀は厄介なインフレを防止するのが最大の仕事である。特に米国は、ロシアとの経済関係が薄いので大した景気下押し圧力は掛からない。欧州とは違う。消費も投資も雇用も好調で、50BP利上げしない理由は無い、と偏屈な筆者は考える。戦争開始以来、考え方が一般世論とはどんどんかけ離れてきた感じがしているなア。

欧州の右往左往

 戦争の最中、欧州委員長のファンデアライエン氏がウクライナのEU加盟を支持すると仰天の発言をして、ゼレンスキー大統領が加盟申請に署名するという、ハプニングがあった。狂ったようなプーチン大統領を前にして、とてもまともな政治判断とは思えない。 豈図らんや、EU内では慌てて火消しを開始、外交担当高官が委員長発言を撤回、報道官はウクライナが欧州の一員であるという意味だった、と苦しい言い訳をする始末。冷静な筈の欧州が如何にパニックに陥っているのかがわかるなあ。 メディアはロシア経済が如何に深刻か、という傾斜報道に終始している。勿論、ロシアは大変だ。でも米国に追随した欧州もかなり大変なのだ。余裕のあるのは米国だけ。でも米国の支援も限定的なのですよ。ニッポン、解ってるかナ。

銀行ATMへ長蛇の列

 ロシアでは銀行取り付け騒ぎが起きている、と報じられている。通貨・株・債券のトリプル暴落で、経済不安が高まっているのだから、現金確保に走るのは当然だろう。政治のツケを払わされるのはいつも国民である。賢明なリーダーを抱くことの重要性、それは古今東西を問わぬ究極的な真理であろう。日本も例外に非ず。 だが日本でも、銀行ATMに人々が殺到する姿を久々に見た。2月28日である。まあ月末や週初が重なった為だろうが、ある用事があって銀行に出掛けたら、A銀行は店舗の外まで人が行列、地下鉄構内にATMがあるB銀行は、階段の行列が地上にまで延び、C銀行では店舗案内のヒトが苛立った顧客に「なんで半分しか稼働してないんだ」と怒鳴られていた。でも、何度もシステム障害をやらかしたX銀行は、比較的空いていたましたねえ。 デジタル化が聞いて呆れるくらい、日本人は現金が好きなんだなア、としみじみ感じた次第である。行列の大半は中高年やワタシのような高齢者だったが、結構若い層も居た。これじゃデジタル金融の普及も限定的だわな。伝統的銀行はデジタル・バンクに淘汰されるという論調も多いが、まだ20年くらい掛かりそうだ。メディアの皆さん、もっと現実を直視しないとね。