売れなかった「地政学リスク」

 仕事上、経済メディアとはいろいろお付き合いがある。本の執筆というのもその一つで、何社かから出版したが、単独執筆の18冊のうち、売れたなア、と言えるのは半分も無い。最近でいえば、D社から出した「12大事件で読む現代金融入門」は意外によく売れた。だが続いて上梓した「地政学リスク」はまるで売れなかった。2015年の出版である。

当時、ロシアのクリミア併合があり、ウクライナとの揉め事も起きた。そうした内容を込め、原油問題にも触れながら、市場の観点から「地政学」の分析を試みた本だったが、反応は鈍く、なんだ、日本人は地政学に全然興味が無いのか、と己の執筆力を棚に上げて憤慨したものであった。あれから7年、地政学リスクは見事に蘇る。

ある記者から、この本の関連で取材したいとメールが来たので、慌てて拙書のページをめくってみた。結構うまく書いてあるゾ、と自賛しながら前書きだけ読んだ。別に今日の出来事を予言した訳でもないが、切り口としては現在の整理には役立ちそうな気がしてきた。過去の自分に助けられる、というのはこういうことか。頭が働くうちに仕事はしておくもんですねえ。

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