様々な金融の失敗

 人間は失敗する存在であり、失敗自体を責めることは出来ない。だが失敗を反省してその巻き返しを怠ることは責められても仕方がない。個人的にはディーラーとして恥ずかしい失敗を何度も繰り返してきたが、理解ある上司や同僚のお陰で何とか40代まで生き延び、その無形資産で未だに仕事が続けられている。月並みな言葉だが、失敗は時間の経過とともに負債から資産に変わり得る。

 金融と長く付き合ってきたきたので、市場の失敗、政府の失敗、そして中銀の失敗などいろいろな失敗を目にしてきた。昨年はFRBの失敗が最大で、今年もその失敗を引き摺っている。慌てて利上げやバランスシート縮小に向かい始めているが、スタートで出遅れたのは致命的だ。市場やメディアは「タカ派的だ」と警戒しているが、噴飯物である。タカ派的でなかったのが失敗の本質であるからだ。

 サマーズ氏のように、景気後退でしかインフレ抑制は成功しないとまでは思っていないが、よほどの幸運が無ければ、FRBのソフトランディング戦術は成就しないだろう。米国の景気失速は来年以降と読んでいたが、急速な引き締めが不可避となる可能性が高いので、少し前倒ししておこう。来年には景気後退も有り得るだろう。日本は本格的なコロナ禍からの回復までにそんな逆風を受けてしまうかもしれない。潜在成長率ゼロの国に、妙薬は無い。


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