期待値コントロールの失敗

 先日、3回目のワクチン接種を受けてきた。モデルナは各地で余っているらしい。私は1,2回ともモデルナだったので抵抗はなかったが、どうやら世間では副作用がキツイとの噂で、みんなファイザーを待っているらしい。従ってモデルナなら即打てる、という状況である。高齢者なので早いということも有るが、余ってるなら若い希望者にどんどん接種すればよい。副作用が怖い老人は、感染リスクを背負って待てば良いだけであろう。

これは一種の期待値コントロールの失敗だ。それには前例がある。日銀の「物価上昇期待に働き掛ける試み」の失敗だ。カネをばらまけばインフレ期待が上がる、という奴である。これは物価低迷という長期的体験、値上げは悪だという社会的価値観、そして物価などさして重要でないという合理的無関心という「三本柱」で打ち砕かれた。期待値をコントロール出来るというのは傲慢な思い込みである。

 日本だけでなく、米国も物価に関する期待値コントロールには成功していない。FRBは2%という看板を掲げ続けてきたが、一般家計には浸透しておらず、米国民の40%は「インフレとは10%以上の事」という認識を抱いているというデータもある。故に何のために量的緩和をやってきたのか、大半は理解していない。だから、最近になって急に引き締めに転換したので素人投資家が驚いて投げ売り、という展開になっているのだろう。期待値は魔物である。あの中国の習主席だって、期待値を自在に管理することは恐らく不可能で、どこかで何かに失敗するのではないかと思っている。


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