大学院講義にて

 国際資本システム研究所、というのがある。ここで所長の肩書を貰ってとある大学院の講義を定期的にやっている。もともと学校で教え始めたのは、20年ほど前の中央大学の大学院だった。客員教授といえば聞こえは良いが、たいして報酬も貰えず、時間の負担が厳しくなって辞めた。そもそも、教えるのが得意ではないのだ。

 その後も断れない依頼で幾つかの大学院の講義に出掛け、何年か前には立教大学で経済学部講師として初めて学部生を教えることになった。中国からの留学生の出来の良さに感服したり、試験前になると単位が欲しいと泣きついてくる学生に呆れたり、レポートも出さないで単位をくれと堂々と頼みに来る学生を叱ったり、と様々な経験をした。出来の悪い試験の答案用紙に、拙書を読んで感服しました、とゴマすり戦術に出る学生もいた。

 昨今では教壇に立つことはお断りしているが、唯一「研究所」の講義だけは無報酬で引き受けている。自分の頭の整理にもなるからだ。教えるというよりも、自分の考えをまとめる方に力を入れる、学生諸君には申し訳ないが、本に書いてあることは本で読んで下さい、と突き放す。まあ講師失格かもしれないが、筆者にはその程度の力量しかないのである。すみません。

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