50BP利上げ説
「世界潮流」に書いたFRBの50BP利上げシナリオは、アトランタ連銀総裁が言及してしまったので、もうサプライズではなくなった。こうしたコミュニケーション戦術で、少しずつネガティブな反応リスクを消していくのは賢明だろう。だが米国のインフレはこの程度の利上げで収まるものではない。極端にいえば、いま米国に必要なのはいつか日本でも説かれた「総需要抑制政策」なのである。
サプライサイドが硬直しているのだから、需給均衡には需要押し下げが必要なのである。そんな「反社会的」な政策など採れない、というのは「物価安定」を求められている中銀の怠慢だ、と思うがどうだろうか。それを怠った1970年代のバーンズFRB総裁のツケを、のちのボルカー総裁の引き締めで、家計や企業が支払うことになったのだ。株価が20%や30%下がろうが、そんな犠牲に比べれば大した話ではないのである。
そもそも米国の実質金利は低すぎる。ゼロ金利で7%のインフレだから、FF金利の実質水準はマイナス7%という途方もないレベルだ。インフレ率が幸運にも3%程度まで下がったとしても、実質金利をゼロにまで持っていくには3%の利上げが必要なのだ。まあそれは非現実的だろうが、50BP利上げで驚いているようでは「マクロな経済構造が見えていない」と言われても仕方がないだろう。
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