ドイツ10年債利回り

 米国の長期金利がなかなか2%に届かないナ、と思っていたら、ドイツの長期金利の方が先にプラスを回復してしまった。前者の方が早いと思っていたのに、後者の動きの方が早かったのは意外だった。ドイツの10年債利回りは昨年12月中旬にはまだマイナス0.4%近辺であったから、相当の勢いである。市場は、インフレに関して「パウエル敗北」に続く「ラガルド敗戦」を予想しているのだろう。

 まあ中銀総裁にケチをつける訳ではないが、FRBもECBもトップが弁護士というのは、現代経済の異形さと脆弱さを象徴しているような気もする。エコノミストがいつも正しいとは言えないが、経済モデルの基礎を学んだ人とそうでない人の思考経路やリスク感覚が異なることは否定できないだろう。ラガルド総裁の発言の背後には、政治を感じてしまうことがよくある。

 インフレが沈静化する確率が低い訳ではない。年後半にスルスルと低下するかもしれない。だがそれはあくまで結果論であり、それだけに賭けるのは、現在必要とされるリスク・マネジメントではない。少なくとも緩和は辞めとこうね、というその一言が言えないのが、リスクの象徴である。

 

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